先日、一棟マンションを購入しようと銀行に資料を持ち込んだのですが、容積率オーバーなので融資ができないと断られました。容積率オーバーってなんですか?
容積率とは、敷地面積に対する建築延べ床面積の割合のことで、建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合のことです。例えば容積率200%の地域で100㎡の土地だと建築延べ床面積は200㎡までということになります。それを超えての建築はオーバーとなり、建築の許可がおりません。おそらく銀行は違法物件もしくは既存不適格物件なので融資ができないということでしょう。ただし、気をつけておかないといけないのは“建築基準法”と“登記法”で面積計算が違うと言うことです。よくお客様から質問を受けるのですが、「容積率200%の地域で登記簿を見ると土地面積が100㎡・建物延べ床面積220㎡なので容積率オーバーですよね」と言われます。これは必ずしも容積率オーバーとは言えません。なぜなら登記簿の面積は“登記法”にもとづく面積計算であり、容積率は“建築基準法”により算出されます。マンションですと共用廊下などの取り込み面積が違うので登記簿上は容積率・建ぺい率オーバーでも建築基準法は問題ないことがよくあります。建築計画概要書を不動産会社に請求し、確認しましょう。
購入しようと思った不動産の概要書を見ていると既存不適格という用語が載っていました。これはなんですか?
既存不適格とは、建築時には適法に建てられた建物でしたが、その後法令の改正や都市計画変更などによって現在の法令に対して不適格な部分が生じた建物のことをいいます。当初から法令に違反して建築された違法建築とは違います。建築基準法は原則として着工時の法令に適合することを要求しているので、着工後に法令の改正など、新たな規制ができた際に生じます。そのまま使用していてもただちに違法というわけではないので、改修などは求められないと思いますが、増築や建替えなどを行う際には、現在の法令に適合するよう建築しなければなりません。